SNSを開けば、誰かの成功体験や華やかな日常が嫌でも目に入る。その一方で、現実の生活に息苦しさを抱える人は増え続けている。そんな時代だからこそ、本作の持つ「どん底からのリスタート」というメッセージが強く求められているのだろう。
主人公は人生に絶望し、自ら命を絶とうとした青年だ。彼がたどり着いたのは、人里離れた場所に佇む奇妙な食堂「まぐだら屋」。そこで差し出される料理は、決して高級なフレンチでも、写真映えするスイーツでもない。ただ、冷え切った身体と心を芯から温める、泥臭くも愛に満ちた家庭料理だ。このシンプルさが、情報過多に疲れた現代人の心にしみわたる。