渡瀬恒彦さんのキャリアの原点は、映画会社「東映」での鮮烈なデビューに遡る。早稲田大学時代に鍛え上げた強靭な肉体と抜群の運動神経を武器に、数々のアクション映画やヤクザ映画で異彩を放った。
金字塔『仁義なき戦い』シリーズでは、血気盛んな若き極道役を熱演。吹き替え(スタント)を使わずに自ら危険なアクションをこなす姿勢は、映画界でも有名だった。車の爆破シーンや疾走する車両からの飛び降りなど、一歩間違えれば命を落としかねない撮影にも物怖じせず挑み続けた。
東映の現場で培われた「どんな過酷な現場でも逃げない」という姿勢は、その後の役者人生の背骨となった。若き日のギラギラとした野性と男気は、後年の深みある演技へと昇華していったのだ。