『謝罪の王様』がパクリなどではなく、極めて高いオリジナリティを誇る最大の証拠は、脚本を手掛けた宮藤官九郎の構造美にあります。本作は、水田伸生監督×宮藤官九郎脚本×阿部サダヲ主演という、映画『舞妓Haaaan!!!』(2007年)や『なくもんか』(2009年)を生み出した黄金トリオによって製作されました。
宮藤官九郎の脚本の凄みは、一見バラバラに見えるショートストーリーが、後半に向けて怒涛の勢いで一本の線へと収束していく緻密な伏線回収の構成力です。ヤクザへの追突事故という身近なトラブルから始まり、セクハラ問題、映画製作の謝罪会見、果ては架空国家「マンタン王国」を巻き込む国際外交問題へと謝罪のスケールが雪だるま式に膨張していく構成は、宮藤官九郎ならではの唯一無二の職人技と言えます。
既存のアイデアを拝借しただけの薄い企画であれば、ここまで重層的で破綻のないコメディを成立させることは不可能です。クリエイター陣の確固たる作家性こそが、盗作疑惑を一蹴する最大の論拠となっています。