地球史において約1万1700年前は、更新世(氷河時代)が幕を閉じ、現在まで続く「完新世(地質時代)」が始まった境界点にあたる。この時期、地球は寒の戻りである「ヤンガードリアス期」と呼ばれる過酷な寒冷期を脱し、わずか数十年から100年程度という驚異的なスピードで平均気温が急上昇した。
氷床の融解に伴い、世界の海水面は100メートル以上も上昇。かつて陸続きだったベーリング地峡や東南アジアのスンダランドが次々と海中に沈み、世界の海岸線は劇的に再編された。この氷河期終了と気候変動は、生態系に未曾有の地殻変動をもたらし、人類に対して生息域の移動や新たな食料獲得戦略の構築を強いることになった。