物語の中心に鎮座するのは、主演の杉野遥亮が演じる主人公・半田清舟だ。名門の書道一家に生まれ育ちながらも、自身の書を「型にはまった面白みのないもの」と評されて逆上し、修行のために離島へ送られるハメになった男である。プライドが高く繊細でありながら、どこか抜けていて愛おしい清舟の葛藤を、杉野は繊細な目の動きや身体表現で見事に体現した。
その清舟の頑なな心を容赦なくこじ開けていくのが、子役の宮崎莉里沙が演じるヒロイン・琴石なるだ。天真爛漫で猪突猛進、清舟を「先生」と慕い、彼の借りた家に土足で上がり込んでは騒動を起こす。二人の間に生まれる擬似親子のような、あるいは年の離れた親友のような絶妙な距離感こそ、本作の最大の駆動力となっている。
彼らを取り巻く登場人物たちも個性豊かな面々が揃う。料理上手で世話焼きな高校生・木戸浩志(綱啓永)、ボーイッシュで活発な山村美和(豊島心桜)、漫画家志望でディープな妄想癖を持つ新井珠子(近藤華)、そして気弱で泣き虫ななるの友達・久保田陽菜(服部樹咲)。若手実力派たちが演じる島の中高生・子供たちが、清舟の日常に常に賑やかな風を吹き込む。
さらに東京側からは、清舟の良き理解者であり苦労人のマネージャー・川藤鷹生(中川大輔)や、清舟をライバル視する若手書道家・神崎康介(荒木飛羽)が絡む。清舟の父であり書道界の重鎮・半田清明(遠藤憲一)の存在感も重厚だ。島と都市、それぞれの人間関係が複雑に絡み合いながらも、最終的には温かな絆へと収斂していく見事な相関図が完成している。