京都における入浴文化の基盤を長年にわたり支えてきたのが、京都府公衆浴場組合に加盟する街のレトロ銭湯である。昭和の面影を残す建物や、富士山ではなく京都ならではの風景が描かれたペンキ絵など、地域に根ざした銭湯は文化遺産としての価値を高く評価されてきた。しかし近年、日本の温浴産業は大きな転換点を迎えている。
ライフスタイルの多様化に伴い、伝統的な銭湯のノウハウを継承しつつ、広大な駐車場や食事処、岩盤浴などを完備した大型のスーパー銭湯へと進化を遂げる動きが活発化した。伝統の防波堤を守る公衆浴場組合の活動と、時代のニーズに応える最先端温浴スパの双方が共存することで、京都の入浴文化はより豊かで層の厚いものへとブラッシュアップされている。新旧の温浴施設が互いに刺激し合うことで、地域全体のリフレッシュ環境が高水準で保たれている。