大場つぐみ氏と小畑健氏の関係性は、漫画界の共作コンビの中でも極めて特異です。通常、原作者と作画者のタッグでは密な対面打ち合わせが行われるケースが多いのに対し、二人は「連載中に直接顔を合わせることはほぼなかった」という徹底した分業スタイルを貫いていました。
制作の流れは、大場氏が執筆したネームを担当編集者が受け取り、それを小畑氏に渡して作画作業に入るという完全なキャッチボール形式です。大場氏はコマ割りやキャラクターの表情、長文のモノローグまで精密に計算されたネームを作成し、小畑氏はその意図を完璧に汲み取った上で、原作者の想像を遥かに超えるビジュアルへと昇華させていきました。
『バクマン。』の劇中で描かれた漫画家コンビ「亜城木夢叶」は、まさにこの二人の信頼関係を彷彿とさせます。互いに過度な馴れ合いを排し、純粋に「プロットの面白さ」と「画力の説得力」だけで語り合うプロフェッショナリズムこそが、読者を唸らせる緊張感ある作品群を生み出す原動力となりました。