サイレースが医療関係者や患者の間で「強い薬」として認識される最大の要因は、主成分であるフルニトラゼパムの効果が持つ独特の薬理学的プロファイルにあります。脳内の抑制性神経伝達物質であるGABA(ガンマアミノ酪酸)の働きを強めるベンゾジアゼピン受容体に対して、サイレースは極めて高い親和性を持って結合します。
精神科・心療内科の臨床現場において、睡眠薬の作用は主に「催眠作用」「抗不安作用」「筋弛緩作用」「抗けいれん作用」の4要素で評価されます。多くの睡眠薬が催眠作用に特化して開発されているのに対し、フルニトラゼパムはこれらすべての作用がバランスよく、かつ高水準で発揮される特徴を持っています。患者にとっては「不安が消え、全身の緊張が抜け、強力な眠気が訪れる」という体感につながるため、主観的な効き目の強さとして「最強クラス」と評されるのです。
なお、過去に同成分で別メーカーから販売されていたロヒプノールの強さもサイレースと全く同等です。現在では販売体制の統合や後発医薬品(ジェネリック)の普及が進んでいますが、その切れ味の鋭さから、重度の不眠症状や他の睡眠導入剤で効果が得られなかった場合の切り札として処方されています。