力餅食堂はなぜ愛されるのか?名物おはぎと独特な暖簾分けの真相

力餅食堂はなぜ愛されるのか?名物おはぎと独特な暖簾分けの真相

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現在でこそ飲食店の大規模展開といえばフランチャイズ(FC)方式が主流ですが、力餅食堂は全く異なる伝統的な「暖簾分け制度」によって勢力を拡大しました。この仕組みの司令塔となったのが、店主たちの相互扶助組織である「力餅会」です。

力餅食堂の看板を掲げるためには、既存の店舗へ丁稚・見習いとして住み込み、8年から10年近くに及ぶ厳しい修行を完遂しなければなりませんでした。麺打ち、出汁取り、小豆の炊き上げ、餅つき、さらには接客や店舗運営のすべてを身体で覚えた職人のみが、親方(マスター)からの独立許可と暖簾を譲り受ける権利を得たのです。

独立時には、力餅会が資金面や物件探し、仕入れルートの確保を全面支援し、近隣店舗との競合を避ける厳格なテリトリー制(縄張り保護)が敷かれました。本部がロイヤリティを徴収する近代FCとは異なり、仲間同士の義理人情と連帯感で結ばれた「擬似家族的な企業ネットワーク」だった点が大きな特徴です。

この仕組みにより、京都・大阪・兵庫を中心とする関西各地の商店街へ急速に店舗網が広がりました。本部のマニュアルに縛られないため、各店舗が出汁の配合や丼もののだし巻きの厚さ、おはぎの甘さを地域住民の好みに合わせて微調整できたことが、長きにわたる地域密着の原動力となったのです。

中川 明日香
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中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。