街を走るライダーの頭元に、ふと目が留まる。どこか懐かしく、どこか異質な存在感。背景にあるのは、近年加速する「昭和レトロ」や「平成ノスタルジー」の世界的再評価だ。TikTokやInstagramをはじめとするSNSでは、富士日章や旭日旗のグラフィックをあしらったヘルメットを被り、整備された旧車を走らせるショート動画が爆発的な再生数を記録している。
デジタルネイティブの若者たちにとって、アナログな質感を持つコルク内装や手書きペイントの温もりはフレッシュだ。量産されたスタイリッシュなフルフェイスにはない「個性の主張」として映る。東京・上野の老舗バイク用品店店主は、首をかしげながらもこう明かす。「昔を知る世代だけでなく、免許を取りたての10代後半や20代前半が『動画で見かけたあの形が欲しい』と来店する。ブームというより、ひとつのファッションジャンルとして定着した感がある」