政治的な動向もまた、この大型肉食獣の運命を大きく左右してきた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、自ら保護活動の前面に立ち、国家主導の巨大なトラ保護プロジェクトを推進。密猟に対する罰則の劇的な強化や、大規模な国立公園の指定を即座に断行した。これにより、ロシア国内における密猟ルートは大幅に衰退したとされる。
だが、政治的なパフォーマンスと現地の生活環境との格差は無視できない。過疎化が進む沿海地方の農村部では、家畜がトラに襲われる被害が相次ぎ、地域住民との摩擦が深まっている。国が掲げる華々しい保護のスローガンの裏で、現場の監視員や現地住民は日常的な衝突のリスクと隣り合わせで暮らしているのだ。