『VIVANT』の真骨頂は、登場人物たちの多層的な関係性にある。中でも野崎と堺雅人演じる乃木憂助との関係は、単なる警察と容疑者、あるいは正義と悪といった単純な二項対立では語れない。互いの正体を探り合い、化かし合いながらも、どこかで互いの能力と覚悟を認め合っている。あの絶妙な緊張感こそが、ドラマの推進力となった。
「別班」という影の組織に属する乃木に対し、野崎は表の法秩序を守る公安の立場から対峙する。しかし、国家の平和を守るという根本の志において、二人は背中合わせの同心円上に存在していたのかもしれない。ラストシーンで見せた二人の交錯は、視聴者に無数の解釈を委ね、今なお議論が尽きない名場面として語り継がれている。