物語のすべての始まりであり、同時に最大の悲劇の引き金となったのが、主人公・白鳥龍彦と彼をスカウトの世界に引き込んだ真虎(マコ)の関係だ。龍彦にとって真虎は、絶対的な憧れであり、超えるべき壁だった。しかし、真虎の瞳の奥に宿る復讐の炎に、龍彦は気づくのが遅すぎたのかもしれない。
真虎が目論んだのは、歌舞伎町の支配ではない。己を弄んだ巨大な闇への、命を賭した報復だった。龍彦を巻き込みながらも、最後の最後で彼を「こちら側の世界」に引きずり込まないよう突き放した真虎の優しさと狂気。この二人の愛憎入り混じる距離感こそが、全編を通して読者の胸を締め付け続ける。