空間全体のクオリティを支えているのが、香取自身が細部まで徹底的に追求した建築・インテリアデザインの妙だ。コンクリート打ちっぱなしの無機質な質感をベースにしつつ、温かみのあるヴィンテージ木材を組み合わせることで、洗練された重厚感を創出している。配置されている家具も、ミッドセンチュリーの名作デザイナーズチェアから、海外のアンティークショップで見つけ出した一点物まで多種多様だ。
特筆すべきは、光のコントロールだ。昼間は大きな開口部から注ぐ自然光が絵の具の発色をきわだたせ、夜になれば計算し尽くされた間接照明が、作品に深みのある影を落とす。部屋のあらゆる角にアートやオブジェが置かれ、どの角度から切り取っても一編の写真作品として成立する完成度を誇る。空間作りに対する一切の妥協なき視線は、単なるコレクターの域を遥かに超えている。