放送大学の地上波放送(テレビ・FMラジオ)は、2018年(平成30年)9月30日の23時15分をもって完全に電波を停止しました。東京タワーや東京スカイツリーをはじめ、関東各地の中継局から送出されていた地上波シグナルが完全に途絶えた瞬間です。
突如として地上波から姿を消したように見えますが、その背景には明確な2つの構造的理由が存在します。
第一の理由は、全国における教育機会の地域格差是正です。もともと放送大学の地上波放送は、東京・神奈川・千葉・埼玉・群馬・栃木・茨城の一部という「関東一円」に限定されたローカル放送でした。関東以外の在学生は郵送によるビデオ教材や学習センターへの通学に頼らざるを得ず、学習環境に大きな不公平が生じていたのです。2011年10月に全国を均一にカバーできるBSデジタル放送を開始したことで、役割の重複していた地上波役務を終了させる方針が固まりました。
第二の理由は、莫大な施設維持費の削減と電波の有効利用です。首都圏の送信アンテナや各地の中継局を維持・更新するには年間数十億円規模のコストが発生します。放送大学は国の財政支援を受けて運営されている公共的機関であり、衛星1基で日本全国を網羅できるBS放送に一本化することで二重コストを大幅にカットする判断が下されました。同時に、総務省による地上波周波数の再編・有効活用という政策方針もこの移行を後押ししました。