横溝参悟が初めて作中に姿を現したのは、原作コミックス第6巻・テレビアニメ第9話に位置する初期の名作「天下一夜祭殺人事件」(1996年放送)でした。この事件の舞台は埼玉県のお祭りであり、当時の参悟は埼玉県警所属の刑事として捜査を指揮していました。
ところが、物語が進むにつれて横溝警部はいつの間にか静岡県警捜査一課の所属となり、伊豆の海岸や温泉街で発生する数々の難事件を担当するようになります。作中設定としては警察内部の「人事異動」として処理されていますが、この不可解とも思える転属には、原作者・青山剛昌氏による明確な作劇意図が存在していました。
作者のインタビューや公式ファンブックの解説によると、海に面していない埼玉県所属のままでは、少年探偵団や小五郎たちが夏休みや小旅行で訪れる「海辺のリゾート地や温泉街」の事件に横溝警部を登場させることができませんでした。「お気に入りのキャラクターである横溝警部を、魅力的なリゾートサスペンスの現場で何度も登場させたい」という制作側の熱い要望により、海と山を抱える静岡県警への異動というウルトラCが実現したのです。