「今日行ける歯医者」が見つからなかった場合、あるいは受診までの数時間を乗り切るために、正しい応急処置の知識は大きな武器になる。歯科関係者への取材によると、最も推奨されるのが「患部を冷やす」「患部側で噛まない」「市販の痛み止めを用法通りに使う」の3点だ。
特に痛み止めについては、アセトアミノフェンやイブプロフェンなど、歯痛に有効とされる成分を含む市販薬がドラッグストアで入手できる。ただしここで注意したいのは、痛み止めはあくまで「症状を和らげる」ものであり、「原因を治す」ものではないという基本だ。服薬して痛みが引いたからといって受診を先延ばしにすると、炎症が進行し、結果的に治療期間と費用が増大する。歯科医師への取材で繰り返し聞かれた言葉は、「痛み止めでごまかさず、24時間以内には必ず受診してほしい」という強いメッセージだった。
また、患部を「温める」のは逆効果である。炎症がある部位を温めると血流が増し、痛みが強くなるケースがある。銭湯や長風呂、飲酒も避けた方がいい。飲酒は血管を拡張させ、痛みを増幅させるリスクがある。近年はオンライン診療や電話相談を活用し、応急処置の指示を仰げるケースも増えているが、最終的には対面での診察が原則となる。