『大ちゃん数え唄』が半世紀を経た現在でも愛され続ける理由は、日本の伝統的な「数え唄」の様式美と、アニメならではのコミカルなギミックが高次元で調和している点にあります。
歌詞は、数字の「ひとつ」から「とう(十)」までを語呂合わせでテンポ良く展開する伝統的な七五調を基軸としています。「ひとつ とやっこ ひとのいい」「ふたつ ふんどし しめなおし」と、主人公・風大左衛門の実直さと田舎者ならではの豪快さを過不足なく描き出しています。
さらに特筆すべきは、楽曲の合間に挿入される声優陣の掛け合いです。風大左衛門役の野沢雅子による「〜だス!」という純朴な合いの手と、ニャンコ先生役の愛川欽也による「キャット驚くタメゴロー!」「ドバッチリ!」といった昭和の流行語を取り入れた軽妙な台詞が、楽曲全体を極上のエンターテインメントへと昇華させています。
現代のボーカルトレーナーや音楽プロデューサーも指摘するように、この曲の難易度は極めて高水準です。アップテンポなリズムの中で寸分の狂いもなくリズムを刻みながら、演歌特有の「小節(こぶし)」をくっきりと回す技術は、13歳の中学生が出せるクオリティを遥かに超越していました。吉田よしみという不世出の歌姫の天才的な基礎力があったからこそ、単なるコミックソングに終わらず、音楽的強度の高い名曲として完成したのです。