今回、世界的な再燃のトリガーとなったのは、ハリウッドの気鋭監督がメガホンを取る『ハサミ男』の連続ドラマ化プロジェクトだ。舞台を現代の東京とロンドンに移し、二重人格やジェンダー、SNS社会の歪みを織り交ぜた多層的なサスペンスとして再構築されるという。原作が持つ「読者を騙す」ための絶対的な仕掛けが、映像という嘘のメディアでどう表現されるのか。業界内では早くも今年最大の話題作と目されている。
原作小説は、美少女ばかりを狙う連続殺人犯「ハサミ男」が、自分の手口を模倣した第三者の殺人事件に遭遇し、自らその犯人を突き止めようとする奇想天外なストーリーだ。この倒錯した設定と、終盤に待ち受ける驚愕のどんでん返しは、今なおミステリ史における金字塔として語り継がれている。映像化のニュースが報じられるや否や、国内外の書店では文庫版の増刷が追いつかない異例の事態となっている。