玄倉川水難事故は、日本における「自己責任論」の原点とも言える事件でした。他者の警告を無視し、自らの意思で危険な場所に留まり続けた結果の悲劇に対し、世間は「自業自得」という冷徹な視線を向けました。
この構図は、現代のSNS社会における「炎上」や「私刑(ネットリンチ)」の先駆けでもありました。一度過ちを犯した者を、社会全体で徹底的に叩き潰す空気感は、この事故を契機に急速に強まっていったと言えます。
もちろん、リーダーの行動は擁護できるものではありません。しかし、27年が経過した今、私たちは単に個人を叩くだけでなく、なぜあのような悲劇が起きてしまったのか、そして同様の心理的バイアス(「自分だけは大丈夫」という正常性バイアス)に誰もが陥る可能性があるという教訓を学ぶべきではないでしょうか。