こうした調理法の進化の背景には、国内の水産業において進行した急速なテクノロジーの進歩がある。かつての冷凍魚は細胞が破壊され味覚が損なわれがちだったが、最新の急速冷凍技術は魚が水揚げされた直後の最高レベルの鮮度と細胞構造をそのまま凍結保存することを可能にした。
日本の水産庁が公表している食料消費や水産物消費の動向調査でも、魚離れが叫ばれる一方で、高品位な冷凍水産品の需要は年々高まっていることが示されている。水揚げ現場からの鮮度保持リレーが確立されたことで、家庭のキッチンに届く冷凍品は「生の魚以上に鮮度が良い」ケースすら珍しくない。素材そのもののクオリティが飛躍的に向上したからこそ、シンプルな焼き方の工夫だけで劇的な美味しさを引き出せる時代が訪れているのだ。