近年の旅のトレンドは明確だ。著名な大型観光地を足早に巡るツアーは影をひそめ、地域の歴史的・精神的文脈に深く浸る「ディープ・トラベル」が好まれるようになった。奈良県南部に位置する下市町は、吉野杉の芳香と吉野川の清流に抱かれた歴史の町。その核心にあるのが、水循環の源流を守る神社としての歴史だ。
異常気象や環境問題が世界的な関心事となる2026年において、古来より「水」を神として敬い、共生してきた日本人の自然観は、単なる伝統の枠を超えて新たな気づきを与えてくれる。特にこの地を訪れる欧米やアジアからの知的旅行者たちは、コンクリートで固められた現代都市にはない「自然への畏怖と感謝」の念に強く惹きつけられている。