「自分たちがやらなければ、誰もあの悪党を裁かない」。ネット上で数百万人のフォロワーを持つインフルエンサーの男性は、カメラの前でそう言い放つ。彼の配信画面には、疑惑の人物のSNSアカウントや過去の発言履歴、さらには親族の勤務先リストまでが整然と並べられていた。
2026年におけるデジタル自警団は、単なる匿名の掲示板書き込みの域を遥かに超えている。AIを用いたディープフェイクの検証や、暗号資産のウォレット解析、防犯カメラ画像の顔認証照合など、国家の捜査機関顔負けの技術を駆使するグループが多数出現した。彼らの目的は表向き「真相究明」だが、実態は視聴数と広告収入、そして何よりも群衆からの承認欲求によって動いている場合が多い。法的手続きという面倒なステップを一切排除し、即座に「有罪判決」を下すスピード感に、大衆は歓喜し熱狂する。