津美紀の命を奪った直接の加害者は、皮肉にも彼女が誰よりも大切に思っていた義弟・伏黒恵の肉体を奪った両面宿儺でした。宿儺がわざわざ自らの斬撃(解・捌)を使わず、伏黒恵固有の術式である「十種影法術」の最強式神・八握剣異戒神将魔虚羅(まこら)を呼び出して万を葬った背景には、極めて陰湿な目的がありました。
肉体を乗っ取られた伏黒恵の魂は、内側から宿儺の呪力出力を抑え込もうと激しく抵抗していました。宿儺はその抵抗を完全にへし折るため、「恵自身の術式と手で、最愛の義姉を殺害させる」という儀式を敢行したのです。
魔虚羅の刃が万を両断した瞬間、器であった伏黒津美紀の肉体生命も同時に終わりを告げました。万は死に際に自らの構築術式で宿儺に「ある呪具(神武解)」を遺して消滅。恵の精神は深淵の底へと沈み、読者に対しても「津美紀の生存ルートが完全に断たれた」という無慈悲な事実を突きつけることになりました。