スマートフォンの高精細ディスプレイが完全に定着した現在、広告デザインに求められるのは単なる高解像度な画像ではない。あえてイラストレーションを用いることで、食材の最もおいしそうな瞬間を極限まで強調するアプローチが脚光を浴びている。
特に人気を博しているのが、手描きの質感を残した水彩タッチと、1980〜90年代のアメリカンコミックを思わせるボールドな線画だ。写真撮影では光の反射や影の出方に現場での制約がつきまとう。しかし描画であれば、チーズの黄金比の伸びやバジルのフレッシュな色彩を意図的にコントロールできる。見る者の脳内に直接香りや味覚を想起させる表現力が、グラフィックデザイナーたちの強力な武器となっている。