地球上で最も軽い部類の元素であるヘリウムが、今この瞬間も宇宙空間へと漏れ出している。ヘリウムは一度大気中に放出されると、二度と回収できない。そして、このガスがなければ、病院のMRIは作動せず、超伝導量子コンピュータもただの鉄の塊と化す。
極低温(マイナス269度)を作り出す唯一無二の手段として、ヘリウムの需要は爆発的に増え続けている。しかし、主要な産出国である米国やカタール、ロシアの供給体制は不安定だ。2026年現在、研究機関や医療機関では、限られたヘリウムをいかに循環させて再利用するかという「回収技術」の導入が急務となっている。