少年院の単独室という隔絶された空間で、宇梶剛士の内面に決定的な変化が訪れる。外部との接触を断たれた彼が手を伸ばしたのは、それまで縁のなかった書物だった。チャールズ・チャップリンの自伝をはじめ、国内外の文学や哲学書を貪るように読み耽るなかで、他者の痛みに寄り添うこと、そして自己を表現することへの渇望が静かに芽生えていった。
「自分はこれまで、人を傷つけることしか知らなかった」。暗闇の中で見出した反省と後悔が、新たな生き方を模索するエネルギーへと転換されていく。更生を果たして出所した彼は、暴力で自分を誇示する過去と決別し、表現の力で人間を描き出す「演劇」の道を志すことを決意した。