桜川エリアは長年、難波の喧騒からわずか一駅という好立地にありながら、どこか秘密めいた独自の文化圏を形成してきた。その中心に鎮座するのがアポロビルだ。昭和の高度経済成長期から平成を経て、数々の夜のドラマや人々の交差を見つめてきたこの建物は、街の歴史そのものと言っても過言ではない。
しかし、2026年の今、事態は急速に動いている。かつての雑多な歓楽街というイメージは着実に薄れ、周辺にはおしゃれなカフェやクリエイターが集まるシェアオフィスが点在するようになった。若年層や単身世帯の流入が顕著であり、かつてのディープな面影を残す建造物と、洗練された都市空間が隣り合わせで共存するという、極めて独特な都市景観が立ち現れている。