両者の演技を緻密に比較すると、それぞれの持ち味とアプローチの違いが浮かび上がります。
初代であるピエール瀧のオラフは、声優としての技巧というよりも、彼自身が持つ天性の「おじさん的な愛嬌」と「素朴な温かみ」が前面に出ていました。少し舌足らずで脱力感のある語り口が、雪だるまというファンタジックな存在に不思議な人間味と親しみやすさを与えていたのが特徴です。
対する武内駿輔のオラフは、徹底したヴォイス・コントロールと本家英語版キャストであるジョシュ・ギャッドの演技プランを忠実に昇華したプロフェッショナルの極致です。ピエール瀧が築き上げた日本版オラフのトーン&マナーを完璧にリスペクトしつつ、劇中歌「あこがれの夏」などに見られる歌唱力の高さ、リズムのキレ、ミュージカル俳優としての表現力において作品全体の完成度を一段引き上げました。
当初囁かれた「声優変更への違和感」が瞬く間に雲散霧消したのは、前任者のイメージを壊さない誠実なアプローチと、それを実現した圧倒的な基礎演技力があったからに他なりません。