患者が最も恐怖を抱くのが「このほくろは皮膚がんではないか」という疑念です。一般的に唇のほくろ悪性良性の違いを見極める国際的ガイドラインとして、日本皮膚科学会をはじめとする専門機関で推奨されているのが、以下の唇のほくろメラノーマ見分け方(ABCDEルール)です。
- A(Asymmetry:左右非対称性):中央で2分割した際、左右の形がアンバランスで均等でない。
- B(Border:境界の不明瞭さ):輪郭がギザギザしていたり、周囲の皮膚へ滲み出すようにぼやけている。
- C(Color:色の不均一性):濃い黒、薄い茶色、青、赤、白など、1つの病変の中に複数の色が混ざり合っている。
- D(Diameter:直径):病変の最大径が6ミリ以上(鉛筆の断面サイズ)に達している。
- E(Evolving:病変の変化):数週間から数カ月の短期間で急速に大きくなる、隆起する、出血や潰瘍を伴う。
良性のほくろ(色素性母斑)は、形がほぼ正円または楕円形に近く、境界が明瞭で、色調も均一な黒褐色を保ちます。一方、悪性黒色腫(メラノーマ)は非常に稀ではあるものの、粘膜移行部である唇にも発生することが知られています。特に「1カ月でサイズが倍になった」「触ると簡単に出血する」「表面がえぐれて治らない口内炎のようになっている」といった徴候が認められる場合は、放置せず直ちに専門の皮膚科を受診しなければなりません。