日々の通学路にある急勾配の坂道に嫌気が差した小熊が、街角のバイクショップ「シノ輪業」で手に入れたのが、彼女の運命を変えることになる中古のホンダ・スーパーカブ50(型式:A-C50、1995年式・丸目ライトのグリーン)でした。
店主から「前オーナーが3人死んでいる、いわくつきの車両だから1万円でいい」と告げられながらも、小熊は動じることなく即決で購入します。幽霊や祟りといった非科学的な噂に惑わされず、わずか1万円で実用的な移動手段が手に入るという実利を最優先したこの決断は、まさに彼女の合理主義の真骨頂でした。
後に小熊はこのカブを、友人たちの助けを借りながらボアアップして排気量を上げ、黄色ナンバーへと登録変更します。風防や前カゴ、冬用ハンドルカバーなど、見栄えよりも防寒性と利便性を追求した無骨なカスタムを施していく過程は、彼女が実直に世界を押し広げていくメタファーとなっています。