彼女のキャリアにおける最大の分岐点となったのは、長与千種役を演じたNetflixシリーズ『極悪女王』だ。オーディションを勝ち抜くために10キロ以上の増量と本格的なプロレス訓練を積み、リング上で繰り広げられた格闘劇は、CGや吹き替えに頼らない圧倒的なリアルを創り出した。
撮影現場での過酷なトレーニングは、彼女自身の演技観を根底から塗り替えたという。単にビジュアルを似せるのではなく、昭和のプロレスブームを支えた伝説的レスラーの魂を肉体に宿す作業。観客が目撃したのは、傷つき、血を流しながらもリングに立ち続ける泥臭い人間の姿であり、そこにはかつての「清純派」という記号は微塵も残っていなかった。