多くのファンが疑問を抱くのが、「なぜ優勝したのにランキングがあまり上がらないのか」、あるいは「予選通過しただけなのに順位が落ちたのか」という点です。これを理解するためには、ゴルフ世界ランキング計算方法の仕組みを正しく把握する必要があります。
世界ランキングは、直近2年間(104週)の大会で獲得したランキングポイントの総数を、出場大会数(最低ディバイザーとして40大会、最大52大会)で割った「アベレージ方式」を採用しています。さらに決定的なのが「時間経過による減衰(ディケイ)システム」です。大会終了後の直近13週間は獲得ポイントが100%評価されますが、14週目以降は毎週少しずつ価値が減少し、104週が経過した時点で完全にゼロになります。つまり、2年前のビッグトーナメントで獲得した大量ポイントが失効する週には、どれだけ本人が好調を維持していても平均ポイントが急落する構造になっています。
ここで混同されやすいのが、男子プロゴルフ賞金ランキングとの違いです。賞金ランキングは単一シーズン内の獲得賞金額を単純に加算する「ストック型」の評価軸であり、高額賞金大会で一度優勝すれば年間シードがほぼ確定します。対して世界ランキングは、過去2年間のパフォーマンスの質を厳密に問う「流動型アベレージ指標」です。どれほど高額な賞金を稼ぎ出しても、出場選手の競技水準(フィールド・レーティング)が低ければ世界ランクの付与ポイントはスズメの涙に留まるという、極めてシビアな実力主義が貫かれています。