オットーがなぜ故郷を離れ、命がけの行商人に身をやつしていたのか。その背景には、幼少期の孤独と、ある貴族令嬢をめぐる悲惨な失脚事件がありました。
生まれつき加護の暴走に苦しんでいたオットーは、幼少期は家族や周囲から「狂人」「奇声を上げる気味の悪い子ども」として扱われ、耳を塞いで泣き叫ぶ日々を過ごしました。やがて実家の愛情深い両親や兄たちの支え、そして旅の医師による指導で加護の波長を調整する術を学び、ようやく人間らしい自我を取り戻します。
しかし、平穏は長く続きませんでした。青年期、商談の過程で有力貴族の令嬢に見初められたオットーは、令嬢に執着する別の有力貴族のドラ息子から逆恨みを買うことになります。謀略によって理不尽な罪を着せられ、故郷ピクトタットにいられなくなったオットーは、実家に累が及ぶのを避けるために全財産を投げ打って逃亡。行商人として流浪の生活を余儀なくされたのです。
この逃亡生活を支え続けたのが、実家から連れ出した相棒の地竜「フルーレ」です。10年来の付き合いであるフルーレとは言霊の加護によって阿吽の呼吸で通じ合っており、主従の契りを結んだ唯一無二の相棒として、数々の死線を共にくぐり抜けてきました。