曲の冒頭に登場する「Rise up this mornin', Smile with the risin' sun, Three little birds pitch by my doorstep(今朝起きて、昇る太陽に微笑んだ。3羽の小鳥が玄関のドアのそばにとまっている)」という象徴的な情景。この「3羽の小鳥」は空想の産物だったのか、それとも明確なモデルが存在したのか。ファンの間では長年激しい議論が交わされてきましたが、記録を掘り下げると2つの有力な証言が浮かび上がってきます。
1つ目は、ボブの長年の親友であり側近だったトニー・ギルバート(Tony Gilbert)が遺した証言です。彼によると、ボブは日頃から自然の生き物と深く対話する人物でした。ロンドンやキングストンの住居の窓辺には、毎朝のように小さな鳥たちがやってきており、ボブは彼らにパンくずを分け与えながらじっと見つめていたといいます。「あの曲はまさにあの鳥たちのことだ。窓の桟に3羽の小鳥がいつも並んで飛んできて、ボブは彼らに向けてメロディを口ずさんでいたんだ」とギルバートは語っています。
対して、極めて有力な2つ目の説が、ザ・ウェイラーズを影で支えた伝説の女性バックコーラスグループ「アイ・スリーズ(I-Threes)」説です。メンバーであるリタ・マーリー、ジュディ・モワット、そしてマルシア・グリフィスの3名です。
マルシア・グリフィスは生前のインタビューにおいて、確信に満ちた口調で次のように明かしています。「曲がリリースされた後、ボブはいつも私たちのことを『スリー・リトル・バーズ』と呼んでいたわ。ある日、彼がリハーサル中にあの曲を演奏し始めたとき、私たちを見て『お前たちの歌だよ』と微笑んだの。私たちは彼のツアーに帯同し、どんな危険な場所でも彼を歌声で守り続けた3羽の鳥だったのよ」。
報道各社の取材データや関係者の回想録を総合的に分析すると、この2つの説は決して矛盾するものではありません。窓辺に飛来した名もなき鳥たちの姿に、過酷な亡命生活を共に戦い抜いてくれる「アイ・スリーズ」の献身的な3人を重ね合わせた――それこそが、詩人ボブ・マーリーが起こした奇跡的なレトリックの真相です。