職場の人間関係を語る際、長年引き合いに出されてきたのがギャラップ(Gallup, Inc.)による指標だ。特に「ギャラップ従業員エンゲージメント調査(Q12)」の第10項目にある「職場に親友がいるか」という問いは、組織開発の現場で金科玉条のように扱われてきた。同僚と深い絆を結ぶことがエンゲージメントや定着率を高めるという論理だ。
だが、人材マネジメント(HR業界)の最前線では今、この解釈に大きな疑義が呈されている。LinkedIn上で行われたグローバルな議論でも浮き彫りになった通り、親友関係がもたらすのは心理的支えだけではない。私情による判断の歪み、派閥争い、そして「断れない同調圧力」という強烈な副作用が存在する。
仕事上のパートナーシップと私的な友情を混同した組織は、かえって建設的な批判や健全な対立を阻害する。友情を維持するための気遣いが、本来集中すべき業務のパフォーマンスを蝕んでいく構図は珍しくない。