天理教の原点は、幕末に教祖・中山みきが説いた「陽気ぐらし」にある。万人が互いに助け合い、差別や貧困のない穏やかな世界を目指すという教えは、民衆の絶大な支持を集めた。だが、その純朴な理念は、教団が巨大化する過程で階級的な権力構造へと姿を変えていった。
教団のトップである「真柱(しんばしら)」の地位を長年担ってきた中山善司氏の体制下において、組織の中央集権化は一段と加速したと指摘されている。絶対的な権威を持つ本部の指示は末端の教会に対して絶対服従を強い、ノルマとも言える過大な献金や布教目標が地方の教会長たちを圧迫してきた。目標未達のプレッシャーが末端信者への強引な集金活動や無給労働へと転嫁され、現場のモラルハザードを引き起こす温床となった。
本来、誰もが平等に救われるはずだった教祖の教え。それが今や、指導部と一般信者との間に埋めがたい格差を生み、教団上層部の既権益を守るための道具へと変質してしまったのではないか。古くからの信者ほど、現在の体制に対して深い失望と焦燥感を募らせている。