米女子ツアーが「夢の舞台」であると同時に「熾烈なサバイバルレース」と呼ばれる最大の要因は、ツアーの出場資格と賞金構造の歪みにあります。毎年のように総賞金額の増額がアナウンスされ、メジャー大会の優勝賞金は数億円規模へと跳ね上がりました。しかし、その恩恵を享受できるのはごく一部のトップ層に限られているのが現実です。
米ツアーで来季のフルシードを確実にするためのシード権獲得条件は極めてシビアです。年間を通じて争われる「レース・トゥ・CMEグローブ」のポイントランキングにおいて、上位80位以内に食い込まなければ、翌年の出場機会は大幅に制限されます。準シードとなる100位前後の選手は、試合ごとのウェイティングや直前予選会(マンデートーナメント)に回ることを余儀なくされ、スケジュール調整すらままならない精神的消耗戦へと突入します。
このデータが示す通り、アメリカ女子ツアー賞金格差の真相とは、単に男子PGAツアーとの格差(男子メジャーの賞金総額は女子の約2倍から3倍)という問題だけではありません。LPGAツアー内部において、トップ層と下位層の間で起きている「生活破綻のリスク」こそが、真の過酷さなのです。予選落ちが続けば賞金は文字通り「ゼロ」。毎週のように飛行機を乗り継ぎ、レンタカーを走らせ、ホテル代を支払うだけで毎週数十万円単位の資金が消えていく現実に直面し、精神的な袋小路に追い込まれる選手は少なくありません。