2005年に公開された実写映画『NANA』のキャスティングにおいて、最大の難関とされていたのがトラネスのボーカルである芹澤レイラ役でした。原作における芹澤レイラは父親がアメリカ人、母親が日本人というハーフ設定であり、華やかな美貌と「聴く者を一瞬で虜にする天使の美声」を兼ね備えた唯一無二の存在だからです。
制作陣はNANA レイラ役 女優を探すにあたり、既存の有名タレントに頼らず、大規模なオーディションを敢行しました。応募総数数千人規模の熾烈な選考の中で、彗星のごとく現れたのがハワイ出身の伊藤由奈さんです。彼女が放つ抜群の英語力と圧倒的な声量、そして透明感あふれるハイトーンボイスは、審査員全員の心を即座に掴みました。
演技経験がほぼ皆無だったにもかかわらず起用が決まった背景には、「レイラの歌唱力だけは絶対に妥協できない」という監督・プロデューサー陣の強いこだわりがありました。まさに劇中のレイラそのものが現実に飛び出してきたかのような奇跡のシンクロニシティが、映画版の伝説の始まりとなったのです。