過去の記憶を未来へ手渡す強力な武器となっているのが、自治体や研究機関が推進するデジタルアーカイブ事業だ。爆心地周辺の爆発前の街並みを3Dデータで精密に復元する試みが結実し、今や世界中どこからでも1945年8月6日以前の広島に「降り立つ」ことが可能になった。
この技術を活用した最新の平和教育は、従来の座学とは一線を画す。高精細なVRゴーグルを装着した生徒たちは、賑やかだった中島地区の商店街を散策し、人々の笑顔や生活の音を体感する。その直後に訪れる破滅的な一瞬。激しいギャップが生み出すリアリティは、教科書の文字だけでは決して到達できない感情の揺さぶりを生み出している。