発信手段が多様化した現代、誰もが容易に意見を世界へ発信できるようになった。しかし、それに比例して言葉の質が向上したかといえば疑問が残る。吉谷麻友子の取り組みは、まさにこの「言葉の価値の低下」に対する静かな抗議でもあった。
短文での強い主張や感情的な煽りが目立つ言論空間において、彼女は推敲の重要性を説く。一つの単語が持つニュアンスの違い、文脈によって変わり得る受け手の解釈。それらを細部まで吟味する「編集的思考」こそが、健全な対話を生む基礎となる。
組織内部のコミュニケーション改善にも、その哲学は注ぎ込まれた。役員と社員、部署間の壁を取り払う対話の場づくりにおいて、発言の真意を丁寧に汲み取るファシリテーション能力を発揮している。