食文化の奥深さも見逃せない。ボスニアの料理は、幾重にも重なる歴史の縮図だ。サクサクのパイ生地の中にジューシーなひき肉やチーズ、スピナッチを閉じ込めた「ブレク」は、一度食べたら忘れられないソウルフード。地元の市場には、近郊の農園から届く無農薬のフレッシュな野菜や果物が山のように積み上げられている。
さらに南部のヘルツェゴビナ地方へ足を延ばせば、燦々と降り注ぐ太陽のもとで育まれた極上のワインが待っている。かつてハプスブルク家の皇室に献上されていた銘醸酒「ジラヴカ(白)」や「ブラトニナ(赤)」は、世界的な認知度こそこれからだが、その洗練された味わいはワイン通を唸らせるのに十分なクオリティを誇る。