2001年、女子高生54人の集団飛び降りというトラウマ的オープニングで世界を震撼させた『自殺サークル』。その精神的続編にして、物語の裏側に潜む個人の孤独を深くえぐり出したのが『紀子の食卓』だ。監督の園子温自身が書き下ろした小説をベースに、地方都市の平穏な家庭が崩壊していく過程を重層的に描いた。
物語は、退屈な日常から逃走した姉・紀子が「レンタル家族」という奇妙なビジネスに身を投じることから始まる。続いて失踪した姉を追う妹のユカ。彼女たちが演じる偽りの家族関係は、観客の倫理観を静かに狂わせていく。ゼロ年代の日本映画を代表するサイコスリラーとして、本作が持つ異様な緊張感は今なお色褪せない。