彼らはなぜ、リスクを冒してまで日本の領海や排他的経済水域へ侵入を繰り返していたのか。回収された証拠品や過去の脱北工作員の証言から、複合的かつ極めて危険な北朝鮮工作船 侵入 目的が浮き彫りになりました。
第1の目的は、対南・対日工作員の潜入および回収です。日本国内に潜伏する協力者(土台人)との接触、日本を経由した第三国への移動、さらには暗号通信を用いた指令伝達の拠点として機能していました。過去の日本人拉致事件においても、同種・同型の工作船が沖合に待機し、海岸から連れ去った被害者を北朝鮮本土へ強制連送するために使用された事実が確認されています。
第2の目的は、外貨獲得を狙った覚醒剤などの違法物資密輸です。1990年代後半から2000年代初頭にかけて、日本の指定暴力団と洋上で直接接触し、数十キロから数百キロ単位の覚醒剤を瀬取り(洋上受け渡し)する密輸ルートが存在していました。九州南西海域の事件現場周辺からも携帯電話やGPSプロッターが回収され、日本国内の通話先や受渡ポイントを示すデータが解析されたことで、国家主導の組織犯罪パイプラインが実証されました。