トップ交代の舞台裏を現場の関係者はどのように受け止めていたのでしょうか。特番インタビューや自著でHIRO自身が吐露した言葉、そしてドームツアー現場のスタッフが語る証言からは、切迫したリアリズムが浮かび上がります。
「社長業を退いてCCOとして世界を見て回った時期、外からの視点を持てたのは確かだった。だが、現場の細部に魂を込め、メンバーやスタッフと毎日泥臭く顔を突き合わせなければ、LDHの本来のエネルギーは生まれないと痛感した」
当時のドキュメンタリーでHIROが語ったこの告白は、組織の肥大化に対する痛烈な自省を含んでいました。ファンの間でもSNSや知恵袋などで「世界進出を掲げた時期から、プロジェクトの焦点がぼやけてチケット価格だけが高騰した」「初期のような泥臭い熱狂が薄れたのではないか」という厳しい意見が散見されていました。巨大化に伴い、現場と経営の間に生じた温度差を誰よりも肌身で感じていたのが創業者本人だったのです。
2026年秋の社長復帰以降、現場の空気感は目に見えて引き締まったといいます。ライブ制作の現場スタッフは「HIROさんがリハーサル場に連日顔を出し、音響バランスや照明の1フレーム単位まで自ら指示を出すようになった。良くも悪くも創業者の目線が直接入ることで、若手グループのステージに対する緊張感とクオリティが跳ね上がった」と証言します。トップの物理的な距離が縮まったことは、現場の士気高揚に直結していました。