地方創生が叫ばれて久しいが、洋食katsuiの取り組みは、外食産業と観光業が手を取り合って成功した理想的なモデルケースと言える。かつては通過点に過ぎなかったトレイルロードが、一軒のレストランの存在によって「目的地」へと変わった。食事を目当てに訪れた人々が古道を歩き、周辺の社寺や特産品に触れることで、地域全体に経済的な好循環が生まれている。
奈良の豊かな土壌で育った野菜、選び抜かれた肉、そして土地の空気感。それらすべてを一皿に凝縮して提供する行為は、まさに奈良のテロワール(風土)を丸ごと体感させる試みだ。ただ食べるだけでなく、その土地の物語を味わう。そんな現代の旅人が求める贅沢が、ここには詰まっている。