『そばかす』の歌詞は、疾走感あふれるバンドサウンドとは裏腹に、痛烈な失恋の痛手とそこから立ち直ろうともがく心情を極めてリアルに描いています。
曲の冒頭から描かれるのは、「大キライだったそばかすを ちょっとひとなでして タメ息をひとつ」というフレーズ。かつて好きな人から褒められたり、愛おしそうに触れられたりしたであろうコンプレックスの象徴・そばかすを指でなぞりながら、消えない感触と喪失感に苛まれる生々しい情景が浮かび上がります。ふりがなを振って丁寧に言葉を追うと、YUKI特有の弾けるような言葉選び(「カエルの面の皮」「ヘビー級の恋」など)の裏に、どれほど深い失恋の打撃があったかが痛いほど伝わってきます。
特にサビの「思い出は いつも キレイだけど それだけじゃ おなかがすくわ」という一節は、日本のポップス史に残る名フレーズです。美化された過去の思い出に浸っていても、人間はお腹が減るし、現実は容赦なく続いていく。感傷に浸りきらず、空腹という生理現象を突きつけることで、涙を拭いて前を向こうとする女の子のしたたかな生命力を鮮やかに表現しています。切なさとユーモア、そして生きることへの肯定感が同居したこのリリックこそ、本曲が単なるアニメ主題歌に留まらない深みを持つ理由です。