ピッツァが焼き上がるまでの時間はわずか数十秒。しかし、その一瞬のために費やされる準備と経験の厚みは途方案内。500度近くまで熱せられた窯内部のベストな位置へ生地を滑り込ませ、絶妙なタイミングで回転させる。田口氏の手元には一切の迷いがない。
焼き上がったピッツァのコルニチョーネ(縁)には、美しく香ばしい「豹柄」の焦げ目が躍る。表面はカリッと香ばしく、中は驚くほど水分を保ってモチモチとした食感。このコントラストこそが、薪窯でしか表現できない奇跡のバランスだ。軽やかな口当たりのおかげで、1枚をあっという間に平らげてしまう客が後を絶たない。