強固に見えた神道界の統制に決定的な亀裂が入ったのが、神社本庁の幹部宿舎売却をめぐる不動産不正取引疑惑と、それに端を発した人事抗争だ。組織の最高名誉職である統理を務めた鷹司尚武氏(元伊勢神宮大宮司)と、実務トップとして長年君臨した田中恆清総長(石清水八幡宮宮司)の間で、総長再任を巡る前代未聞の対立が勃発した。
疑惑を告発した職員への懲戒処分をめぐり裁判所が処分無効の判決を下す中、鷹司統理は田中総長の再任承認を拒絶。しかし、田中派が多数を占める役員会はこれを強行突破し、内紛は泥沼の法廷闘争へと発展した。聖職者の集団であるはずの組織中枢で繰り広げられた権力闘争と不透明なガバナンスは、一般参拝者のみならず現場の神職たちにも深い失望をもたらした。