丁寧に締めて持ち帰ったアオリイカは、当日のコリコリとした歯ごたえを楽しむだけでなく、適切に保存・熟成させることで真価を発揮します。イカの筋肉は死後、数日かけて自己消化酵素によってタンパク質が分解され、遊離アミノ酸(グリシン、アラニン、グルタミン酸など)が劇的に増加します。
刺身で最も美味しい状態を作るなら、内臓と皮を取り除いてペーパータオルで余分な水分を拭き取り、ラップで空気が入らないよう密閉して冷蔵庫のチルド室で1〜3日間寝かせるのがベストです。驚くほどのねっとり感と濃厚な甘みが引き出されます。
また、長期保存を行う場合は冷凍保存が推奨されます。アオリイカは魚類と異なり、細胞壁が強固であるため一度冷凍してもドリップが出にくく、むしろ冷凍によって筋繊維が適度に破壊されて解凍後の身が柔らかくなるという特異な性質を持っています。1杯分ずつ小分けにして急速冷凍すれば、数ヶ月間にわたって釣りたて同等の風味を維持することが可能です。